皆さま、こんにちは!
高知で相続不動産の売却・処分を専門に扱う、株式会社福島屋代表の上田です。
相続や空き家問題が注目されるなかで、「使っていない不動産をどうするか」は、多くのご家庭にとって避けられないテーマになりつつあります。
人口減少が続く地方においては、土地や建物が「資産」から「負債」へと変わるリスクが年々高まっています。高知県でも例外ではありません。
そこで本日は、過去の地価データをもとに、高知県の不動産価格が今後どうなっていくのか、そして所有者としてどのような判断が求められるのかについて話してまいります。
目次
高知県の不動産価格は、20年以上“下落基調”が続いている
国土交通省の公表する「公示地価」「基準地価」などのデータを参照すると、高知県の不動産価格は長期的に下がり続けていることが明らかです。
例えば、高知市内の住宅地では、
- 2003年:1㎡あたり 約66,000円
- 2023年:1㎡あたり 約55,000円
およそ20年で約17%の下落です。
高知市以外においてはさらに下落率が大きく、40〜50%以上の下落が確認されている地域もあります。
この事実は、不動産を持っているだけでリスクが伴うことを示しています。
なぜ価格が下がるのか?5つの構造的要因
1. 人口減少と高齢化
高知県は全国的に見ても人口減少率が高く、若年層の都市部流出が顕著です。需要が減れば価格は下がるという、不動産市場における基本的な原理が働いています。
2. 空き家率の上昇
総務省の調査によれば、高知県の空き家率は全国平均を大きく上回っています。とくに高知市中心部を離れた地域では、使われなくなった家や土地が目立ち、不動産価値全体の下落につながっています。
3. 地域経済の衰退
企業の撤退や若年層の雇用機会減少によって、地方経済は縮小傾向にあります。経済活動の低迷は住宅・商業用地の需要にも大きく影響します。
4. 災害リスク
南海トラフ巨大地震の影響を受ける可能性の高い高知県では、津波や浸水のリスクが不動産価格に反映されています。高知県の津波災害警戒区域に指定されたエリアでは、購入希望者が慎重になる傾向が強く見受けられます。
5. 都市開発の停滞
大規模なインフラ整備や再開発が進みにくい地方では、「将来的な価格上昇」への期待が持ちにくいため、投資対象としても選ばれにくくなります。
今後の地価はどうなる?「緩やかな下落」が続く可能性が高い
ここ数年、高知県の地価はおおむね年率1〜2%前後で下がり続けている地点が多く見られます。この下落率は一見緩やかに見えますが、長期で見ると無視できない損失です。
例えば、以下のようなシナリオが想定されます。
- 5年後:現在の価格の90〜95%
- 10年後:80〜85%
- それ以降:さらに需要減が加速すれば、流通価格は“ほぼゼロ”の可能性も
「欲しい人がいるうちに売る」「貰い手がいるうちに譲渡する」という判断を先送りにしてしまうと、いずれ誰にも引き取ってもらえなくなり、結果として維持費や管理責任だけが重くのしかかるリスクがあります。
「売らない」という選択のリスクとは?
土地や家を保有し続けること自体が悪いわけではありません。しかし、以下のような点は見落とされがちなリスクです。
維持費・固定資産税などが毎年かかる
所有しているだけで、年間数万円〜数十万円のコストがかかる場合もあります。これを10年、20年単位で支払い続けると、売却益を上回る出費になりかねません。
利用予定がなければ、資産としての価値は薄れる
「将来使うかもしれない」という曖昧な理由で保有するケースは多いですが、結果として使われずに老朽化が進み、売却どころか解体費用だけが必要になることもあります。
相続人に迷惑をかける可能性
不動産は相続の際、分割や管理の面でトラブルになりやすい資産です。とくに価値が下がっている不動産は、親から相続したくない財産ランキングの圧倒的No.1として敬遠されています。
では、どう行動すべきか?
ここで大切なのは、「今の実勢価格を把握し、選択肢を検討すること」です。具体的には以下のような対応策があります。
売却(今のうちに現金化する)
買い手がまだ見つかるうちに、価値が残っている段階で売却することは、不動産における最もリスクの少ない出口戦略の一つです。
0円譲渡(無償で手放す)
売却が難しい場合でも、無償で引き取り手を探すという方法があります。「手放すこと」によって、管理負担や税金から解放されるというメリットがあります。
相続土地国庫帰属制度の活用
2023年から始まった制度で、一定の条件を満たせば国に土地を返すことが可能です。「相続しても使い道がない」土地の処分方法として注目されています。
まとめ|「資産」が「負債」に変わる前に、今こそ判断を
高知県の不動産価格は、これからも劇的に上がる可能性は低く、下落傾向はしばらく続くと予想されます。
そうした中で、持っているだけでコストやリスクを生む資産に対し、どう向き合うかが問われています。
まだ売れるうちに動く。まだ選べるうちに決める。
その一歩が、将来の負担を防ぐ大きな差となるかもしれません。