ご相談者:高知県高知市U様
物件所在:高知県安芸市
ご相談内容
3年前に父が他界し、実家と畑を相続しました。
現在、実家は空き家になっており処分も検討していますが、まずは畑をどうにかしたいと考えています。
この畑は長年使っておらず、草木が生い茂り、虫が発生したり、廃タイヤなどの不法投棄までされてしまっています。近所の方からも「草刈りをしてほしい」と苦情がはいり、最初は自分で草刈り機をレンタルして対応しましたが、翌年にはまた元通り。いたちごっこで正直疲れてしまいました。
固定資産税は年間7,000円程度と大きな負担ではありませんが、何よりも近隣からの苦情や管理の手間が大きなストレスになっています。
もともと30年以上前から駐車場として使っていたため作物を作っていた記憶はないのですが、現在も「畑」という地目のままです。
さらに、その場所は海岸沿いに位置し、最大で3.0mから5.0mの津波浸水が想定されるエリアにあり、別の不動産会社からは「需要がなく、売却は難しい」と断られてしまいました。
このまま管理し続けるのは本当にしんどく、精神的にも限界を感じています。なんとか土地を手放して、心の負担を軽くしたいと思っています。
物件の状況整理
- 地目が「畑」
→ 土地を手放すには、農業委員会の許可が必要。 - 実態は駐車場利用
→ 30年以上前から本当に駐車場として利用していたのであれば、税務課で課税地目が農地でないことの証明を入手し、「非農地証明書」の発行を検討できる。 - 売却の難しさ
→ 近隣の売買事例がなく、売却できるまでにどれくらい時間がかかるか、いくらで売れるのかが不透明。 - 早期に手放す選択肢
→ とにかく早く手放したいのであれば、まずは「1円譲渡(実質無償)」を検討するのがおすすめ。 - 最終的な手段
→ 引き取り手が見つからない場合は、「相続土地国庫帰属制度」への申請が可能。
ご提案した解決策
ご相談者さまは「管理が大きな負担となっており、できるだけ早く土地を手放したい」とお考えでした。
そのため、まずは 1円譲渡で引き取り手を探す方法 をご提案いたしました。
また、売却についても可能性を検討しましたが、近隣に取引事例がないことに加え、他地域においてもハザードマップの対象外で条件の良い土地でさえ、低価格であっても長期間売れ残っている状況が見受けられます。
こうした点を踏まえると、売却を進めることはご相談者さまのご意向である「早めに手放したい」という希望とは一致せず、現実的な選択肢とは言えないため、今回は除外する判断といたしました。
最終的な解決
譲渡先については、インターネットで募集を行い、複数の希望者から「今後の土地活用計画」を伺いました。その内容をもとに相談者様と丁寧に協議し、最も適した方を譲渡先として決定しました。
譲渡にあたっては、所有権移転の条件として農業委員会からの「非農地証明書」取得が必須となるため、その手配も併せて行いました。
農業委員会の開催時期の関係で取得までに時間を要しましたが、農地のままでは譲渡のハードルが高かったため、地目を「畑」から「雑種地」へ変更しました。
その後、重要事項説明書・物件状況等報告書・売買契約書を作成し、通常の不動産売買と同じ手続きを経て、所有権移転登記を実施しました。
結果として、初回のご相談からおよそ3か月で、無事に名義変更(譲渡)を完了することができました。