皆さま、こんにちは!
高知県で相続不動産や空き家、売却・処分が難しい負動産を専門に扱う、福島屋代表の上田です。
相続した土地について、「使い道がない」「管理できない」「将来が不安」と感じたとき、相続土地国庫帰属制度が候補に挙がることがあります。
この制度は、一定の条件を満たした土地を国に帰属させることができる仕組みですが、制度を検討する前に整理しておかないと判断を誤りやすいポイントがいくつかあります。
そこで本日は、制度の可否を判断する前段階として、必ず確認しておきたい整理事項について話してまいります。
目次
相続土地国庫帰属制度は「どんな土地でも使える制度」ではない

制度の前提として押さえておくべき点は、この制度が土地所有者の事情だけで利用できる制度ではないということです。
国が引き取る土地は、
- 管理上の支障がないこと
- 将来にわたって国の負担が過度にならないこと
といった観点から審査されます。
そのため、「困っているから返せる」という理解だけで検討を進めると、途中で要件不適合が判明することもあります。
整理①:他の選択肢を一度すべて並べているか

制度を検討する前に、相続した土地に対してどのような選択肢があるのかを整理しているかが重要です。
例えば、
- 売却できる可能性は本当にないのか
- 隣接地の所有者に引き取ってもらう余地はないのか
- 金銭のやり取りがなくても、引き受け手は現れないのか
国庫帰属は数ある選択肢の一つにすぎず、最初から唯一の解決策として固定してしまうと判断を狭めます。
整理②:制度上、対象外になりやすい条件に当てはまらないか

土地の内容によっては、申請前の段階で制度に適合しにくいケースがあります。
特に確認が必要なのは、
- 境界が明確でない土地
- 崖地・急傾斜地を含む土地
- 竹林が広がっている土地
- 管理・安全面で問題が生じやすい土地
これらは、書類を整えても実体要件で不適合になる可能性が高いため、早い段階で整理しておく必要があります。
整理③:制度にかかる費用を具体的に把握しているか

相続土地国庫帰属制度は、手続き自体に費用がかからないわけではありません。
主に考慮すべき点として、
- 申請時の手数料
- 審査後に求められる負担金
- 申請前に必要となる書類準備等の費用
があります。
市街地の土地や広大な山林など、土地の条件によっては、1筆あたりの事前整理や負担金を含めた総コストが100万円を超えるケースもあり、制度を利用することで他の方法よりも費用負担が大きくなる場合があります。
そのため、相続土地国庫帰属制度が必ずしも最も費用負担の少ない手段とは限らない点を、事前に整理しておくことが重要です。
整理④:相続・共有関係が整理されているか

相続土地国庫帰属制度では、申請時点で土地の所有関係が明確に整理されていることが前提となります。
土地が共有状態にある場合は、共有者全員が共同して申請する必要があります。
そのため、
- 相続関係や共有者の範囲が整理されていない
- 相続人が複数おり、遺産分割の合意が成立していない
- 共有者の所在が不明で、申請手続に参加できない
といった状態では、制度の検討以前に権利関係の整理が必要になります。
制度を利用するかどうかにかかわらず、相続や共有に関する権利関係を整理することは、土地の処理を進めるうえで避けて通れない前提条件となります。
整理⑤:「制度を使うこと」が目的になっていないか

最後に確認しておきたいのは、目的の整理です。
- 管理負担を減らしたい
- 将来のリスクをなくしたい
- 相続問題を長引かせたくない
これらが本来の目的であり、制度はあくまで手段の一つです。
制度を利用すること自体を目標にしてしまうと、本来不要な費用や手間をかけることにもなりかねません。
まとめ|相続土地国庫帰属制度を検討する前の整理事項

相続土地国庫帰属制度を検討する前に、整理しておきたい主なポイントは次の通りです。
- 他の選択肢を含めて全体像を整理しているか
- 土地が制度の対象になり得る条件か
- 費用面を具体的に把握しているか
- 相続・共有関係が整理されているか
- 本来の目的を見失っていないか
制度は有効な場面もありますが、適切な整理を行ったうえで検討することが前提となります。
まずは制度そのものではなく、土地の状況と相続の実態を整理することが、判断の出発点になります。
































