皆さま、こんにちは!
高知県で、山林や農地をはじめ、相続後の扱いに困っている土地や建物、売却・処分が難しい「負動産」を専門としている福島屋代表の上田です。
相続が発生したとき、「亡くなった方に借金があるかもしれない」「後から知らない借金が出てきたら困る」という理由から、早めに相続放棄を検討される方もいらっしゃいます。
もちろん、相続放棄は法律で認められている制度です。
場所の分からない山林、長年放置され山林のようになっている田畑、道路に接していない土地、老朽化した建物など、今後の管理や処分に大きな負担が予想される不動産を相続しないという判断も一つの選択肢です。
しかし、相続放棄を検討する際に、ぜひその前に確認していただきたいことがあります。
それが、相続する可能性のある不動産の状況を確認することです。
相続する不動産は、必ずしも「亡くなった方名義の土地に、亡くなった方名義の建物が建っている」という単純な状態とは限りません。
例えば、
- 祖父名義の土地に親名義の建物が建っている
- 土地は親名義だが建物は未登記になっている
- 土地が複数人の共有名義になっている
といったことがあります。
このような状態を確認しないまま相続放棄をすると、後になって残された不動産を整理しようとしたときに、思わぬ問題が出てくることがあります。
そこで本日は、相続放棄を検討する前に不動産整理を行うことが重要な理由について話してまいります。
相続放棄は「何を放棄するのか」を確認してから考える

相続放棄をすると、預貯金だけを放棄して不動産を相続する、あるいは不要な土地だけを放棄して必要な財産を相続するといった選択はできません。
そのため、相続放棄を検討するときには、借金などの負債だけではなく、亡くなった方がどのような財産を持っていたのかについても確認することが重要です。
特に不動産の場合、預貯金などと違い、所有していること自体が家族に十分認識されていないことがあります。
また、2026年2月2日からは「所有不動産記録証明制度」が始まり、一定の要件のもと、亡くなった方が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的に確認できるようになりました。
しかし、不動産の状況を整理するうえでは、登記されている不動産を確認するだけで終わるとは限りません。
例えば、未登記の建物は、建物の登記情報からその存在や所有関係を確認することができません。
そのため福島屋では、登記情報だけではなく、固定資産税関係の資料や現地の状況なども確認しながら、不動産の全体像を整理することが重要だと考えています。
土地と建物の名義が違うことは珍しくない

相続不動産を調査していると、土地と建物の名義が異なっていることがあります。
例えば、
- 祖父名義の土地の上に、親名義の建物が建っている
- 親名義の土地の上に、祖父名義の建物が残っている
といった状態です。
先代の相続時に一部の不動産だけ相続登記がされていたり、建物が未登記のままになっていたりすると、現在の家族が考えている所有関係と、実際の権利関係が異なっていることがあります。
ここで注意したいのは、土地と建物は別々の不動産であるということです。
父が長年住んでいたため、土地も建物も父のものだと思っていたとしても、調べてみると土地は祖父名義、建物は父名義ということもあります。
この場合、土地と建物では相続関係が異なるため、それぞれ誰が相続人になるのかを確認する必要があります。
そのため、相続放棄を検討する際には、単に「実家を相続するかどうか」ではなく、土地は誰の名義なのか、建物は誰のものなのかを分けて確認することが重要です。
固定資産税の資料だけでは分からない不動産もある

相続財産を確認するとき、固定資産税納税通知書や課税明細書などを確認される方は多いと思います。
これらは不動産を調べるうえで非常に重要な資料です。
しかし、固定資産税関係の資料だけを見て、「ここに載っているものが相続する不動産のすべて」と判断することには注意が必要です。
例えば、土地については確認できていても、その土地の上に誰の建物が建っているのか分からない場合があります。
反対に、家族が建物の存在を認識していても、その敷地が誰の所有なのかを把握していないこともあります。
書類上で不動産が確認できることと、その不動産の現況や権利関係まで把握できていることは別の問題です。
相続放棄した後では不動産整理が難しくなることもある

相続放棄そのものに問題があるわけではありません。
問題となるのは、土地と建物の所有関係を十分に確認しないまま相続放棄を行い、その後になって残された不動産を整理しなければならなくなった場合です。
例えば、父が亡くなり、不動産の状況を十分に確認しないまま父の相続を放棄したとします。
ところが後になって、祖父名義の建物が、相続放棄をした父名義の土地の上に建っていることが分かったとします。
建物を解体するためには、人の立入りだけでなく、重機や工事車両の進入、解体した廃材の搬出などで土地を利用する必要があります。
しかし、父の相続を放棄している以上、その土地を当然に自由に使用できるとは限りません。
このように、土地と建物の所有者が異なる場合には、相続放棄をした後になって、残された不動産の処分が難しくなることがあります。
逆に、父名義の建物が自分の所有する土地の上に残っていて、父の相続を放棄した場合にも、建物を自分の判断だけで処分することができず、土地の売却や処分が難しくなることがあります。
だからこそ、相続放棄を検討する前に、土地だけ、建物だけを見るのではなく、土地と建物を一体として現状を確認し、それぞれの所有者や利用関係まで把握しておくことが重要です。
借金が心配でも調査する時間を確保できる場合がある

「不動産を調べた方がよいことは分かるけれど、その間に相続放棄ができなくなるのが怖い」と思われる方もいらっしゃると思います。
相続放棄は原則として、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
ただし、相続財産の調査が終わらず、相続するか放棄するかを判断できない場合には、家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てる方法もあります。
そのため、相続放棄を検討する場合でも、期限に注意しながら、可能な範囲で借金や不動産などの相続財産の状況を確認したうえで判断することが重要です。
まとめ|相続放棄を決める前に不動産の状況整理を

相続放棄は、相続人に認められた重要な選択肢です。
しかし、相続放棄を決める前に、「何を相続放棄することになるのか」を確認することも重要です。
土地と建物の名義違い、未登記建物の存在など、不動産には調査して初めて分かる問題があります。
福島屋では、すぐに不動産の処分方法を決めるのではなく、まず「どのような不動産があり、誰の名義で、どのような状態なのか」を整理し、そのうえで整理方針を考えることが重要だと考えています。
相続放棄をした後に土地や建物の整理で困らないためにも、相続放棄を検討する段階で、まずは不動産の状況を整理しておくことが大切です。














































