ご相談者:高知県U様
物件所在:高知県安芸市
ご相談内容
安芸市内で、3年前にお父様から相続した店舗と住宅についてご相談をいただきました。
ご相談者様は安芸市外にお住まいで、離れた場所にある不動産の管理や固定資産税の負担を感じておられました。
店舗は賃貸中で家賃収入がありましたが、家賃の入金管理に加え、年2回の草刈りをシルバー人材センターへ依頼するなど、継続的な管理が必要でした。
会社員として働きながら、家賃収入に伴う確定申告にも対応しており、今後も積極的に賃貸経営を続ける意向はありませんでした。
また、「今の入居者が退去した後、新しい借り手が見つかるのだろうか」という不安も抱えておられました。
敷地は縦長で、道路側に店舗、その奥に別棟のご実家が建っていました。
道路側の店舗は建築基準法上の道路に接していましたが、奥の住宅部分だけでは道路に接していませんでした。さらに、道路側に賃貸中の店舗があるため、奥の住宅まで解体用の重機が進入できる経路もありませんでした。
店舗を含めて敷地全体を整理すれば、土地利用を見直す余地はありました。しかし、店舗には入居者がおり、賃貸借を継続したまま奥の住宅だけを解体したり、建て替えたりすることには大きな制約がありました。
周辺には空き地が多く、売りに出しても長期間売れない土地が目立つことから、ご相談者様は、更地にしても買い手を見つけることは非常に難しいのではないかと懸念されていました。
こうした地域の不動産市場の状況や建物の老朽化、今後の賃貸管理・維持管理の負担を踏まえ、ご相談者様は、家賃収入が得られているうちに不動産全体を整理したいと考えておられました。
物件の状況整理
- 安芸市内の店舗と住宅
- 相続から約3年経過
- 店舗は賃貸中で家賃収入あり
- 道路側に店舗、その奥に住宅が建つ縦長の敷地
- 奥の住宅部分だけでは建築基準法上の道路に接していない
- 賃貸中の店舗があるため、現在の状態では奥の住宅まで解体用重機が進入できない
- 住宅は築51年の木造で約5年間空き家
- 住宅はベランダ付近から1階居室への雨漏り
- 住宅は空き家期間中にシロアリ被害が発生
- 住宅は湿気などにより台所周辺の床が抜けるなど老朽化が進行
- 店舗・住宅を合わせた解体費の見積りは約400万円
- 土地・建物の固定資産税評価額は合計約1,000万円
- 固定資産税は年間約10万円
特に問題となったのが、店舗と奥の住宅を切り離して考えることが難しい点でした。
店舗には入居者がいるため、現在の賃貸借を継続するのであれば、すぐに店舗を解体することはできません。
一方で、奥の住宅は老朽化が進んでいますが、道路側に店舗があるため、現在の状態では解体用の重機が住宅まで進入できません。
将来、店舗の入居者が退去し、店舗と住宅を合わせて解体する場合には、約400万円の解体費が必要になる見込みでした(2025年に取得した見積り)。
つまり、現在は店舗から家賃収入がある一方で、その収入が将来も続くとは限らず、奥には老朽化した住宅が残っているため、将来的な解体費の負担だけでなく、その後の土地をどう整理するのかまで考えておかなければならない不動産でした。
当社のご提案と対応
まず、現在得られている家賃収入だけではなく、建物の状態、敷地や接道の状況、固定資産税、将来の解体費、賃貸管理の負担などを含めて不動産全体の状況を整理しました。
ご家族やご親族からは、「家賃収入があるのなら、ひとまず現状維持でもよいのではないか」という意見もあったそうです。
確かに、現在の入居者から家賃を得られている間は、所有を続けるという選択もあります。
しかし、現在家賃収入があることと、今後も安定して収益を得ながら所有し続けられることは別の問題です。
現在の入居者が退去すれば、新たな借り手が見つかるとは限りません。
建物は今後も年数を重ね、修繕や解体が必要になる時期も来ます。
さらに、固定資産税や草刈り、家賃の入金管理、確定申告、貸主としての建物管理も、所有を続ける限り必要です。
そして、将来約400万円をかけて店舗と住宅を解体したとしても、それで不動産の整理が終わるわけではありません。
建物を解体した後には土地が残るため、その土地を誰に、どのような方法で引き継ぐのかまで考える必要があります。
そこで当社では、現在の店舗の賃貸借契約をそのまま引き継ぎ、老朽化した住宅も含めて不動産全体を引き受けてもらう方法を検討しました。
店舗だけ、住宅だけ、土地だけと分けて考えるのではなく、現在の賃貸借関係や建物の状態も含めて一体で引き継いでもらうことで、ご相談者様が不動産全体の管理から離れることを目指しました。
その条件で引受先を探した結果、店舗の賃貸借契約を引き継ぎ、住宅も含めた土地・建物全体を引き受ける買主が見つかりました。
最終的な解決

最終的に、店舗と住宅を含む不動産全体を100万円で売却しました。
売却価格だけを見ると低い金額に見えるかもしれません。
しかし、不動産整理では売却価格だけで判断するのではなく、所有を続けた場合に今後どのような負担が生じるのかまで考える必要があります。
今回の物件では、現在は店舗から家賃収入を得られている一方、将来入居者が退去した後も同じように賃貸できるとは限りません。
また、店舗と住宅を将来解体する場合には約400万円の費用が見込まれており、固定資産税、草刈り、建物の維持管理などの負担も続きます。
今回100万円で売却したことで、ご相談者様は今後得られる可能性のある家賃収入を手放すことになりました。
その一方で、将来の空室、建物の老朽化、修繕や解体費、固定資産税、草刈り、家賃管理、確定申告、貸主としての建物管理といった負担や不確実性から離れることができました。
ご相談者様が重視されたのは、現在得られている家賃収入をできるだけ長く受け取ることではなく、お父様から相続した不動産を自分の代で整理しておくことでした。
家賃収入があるうちに売却へ動き、店舗の賃貸借契約ごと引き継いでもらうことで、将来解体して土地だけが残ることもなく、店舗、老朽化した住宅、土地を含めた不動産全体を整理することができました。
売却・処分が難しい不動産でお困りの方へ
- 家賃収入はあるものの、今後も賃貸経営を続ける予定がない不動産
- 道路側と奥に複数の建物があり、一部だけを整理することが難しい不動産
- 解体費が高額で整理が進まない空き家
- 老朽化が進み、将来の修繕や解体が心配な建物
- 相続したものの、管理や固定資産税の負担から離れたい不動産
このような不動産でも、解体して更地にすることだけが整理方法ではありません。
今回のように、現在の賃貸借関係や建物の状態も含めて引き継いでもらうことで、解体費を負担することなく、建物と土地をまとめて整理できる場合があります。
家賃収入があるからといって、所有を続けることが最善とは限りません。
また、老朽化した建物があるからといって、必ずしも所有者が解体してから売却しなければならないわけでもありません。
大切なのは、現在得られている収入や売却価格だけを見るのではなく、この先も所有を続けた場合にどのような負担が残るのかまで整理したうえで、今後の方針を決めることです。
「家賃が入っているから、このまま持ち続けた方がよいのだろうか」
「解体してからでなければ、この不動産は売却できないのだろうか」
そのように悩まれている方は、まずは現在の不動産の状況を整理するところからご相談ください。


































