皆さま、こんにちは!
高知県で、山林や農地をはじめ、相続後の扱いに困っている土地や、売却・処分が難しい「負動産」を専門としている福島屋代表の上田です。
ある日突然、農業委員会から「非農地通知書」が届いて驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
- 何か手続きが必要?
- 放置しても問題ないの?
- 固定資産税はどうなる?
普段あまり目にすることのない書類だけに、不安を感じる方も少なくありません。
しかし、非農地通知書は必ずしも悪い知らせではありません。
むしろ、今後の土地整理や相続手続き、所有権移転などを考えるうえで、有利に働く場合もあります。
そこで本日は、非農地通知書の意味や、届いた後に確認しておきたいポイントについて話してまいります。
目次
非農地通知書とは?

非農地通知書とは、農業委員会が実施する農地利用状況調査(農地パトロール)などの結果、「この土地はすでに農地として利用されておらず、農地に該当しない」と判断したことを所有者へ通知する書類です。
農業委員会によって書式や名称は異なりますが、全国各地で運用されています。
長年耕作されていない農地や、木竹が繁茂して山林化した土地などが対象となることが多くあります。
実際の非農地通知書の例

今回掲載している画像は、高知県南国市の非農地通知書です。
農地利用状況調査の結果、対象地について農地に該当しないと判断され、南国市農業委員会会長名義で所有者へ通知されています。
通知書には、
- 農地に該当しないと判断したこと
- 農地台帳から除外すること
- 関係機関へ通知すること
- 登記地目変更は法務局で手続きが必要であること
などが記載されています。
非農地通知書が届いたら何が変わる?

登記地目は自動で変更されない
最も誤解されやすいポイントです。
非農地通知書が届いたとしても、登記簿上の地目は自動的には変更されません。
例えば、
- 登記地目:畑
- 現況:山林
という状態で非農地通知が届いても、法務局の登記簿上は引き続き「畑」のままです。
登記地目を山林へ変更したい場合は、所有者自身が法務局へ地目変更登記を申請する必要があります。
課税地目は変更されることがある
一方で、市町村が固定資産税の課税に使用する課税地目は、土地の現況に応じて変更されることがあります。
そのため、
- 登記地目:畑
- 課税地目:山林
という状態になることも珍しくありません。
課税地目が山林へ変更されることで、固定資産税の負担が軽くなるケースもあります。
非農地通知書と非農地証明書の違い
非農地通知書と非農地証明書は似た名称ですが、発行される経緯が異なります。
非農地通知書
農業委員会が実施する農地利用状況調査(農地パトロール)などの結果、農地ではないと判断した際に、所有者へ通知される書類です。
非農地証明書
所有者などからの申請に基づき、農業委員会が農地ではないことを証明する書類です。
つまり、
- 農業委員会から送られてくるもの → 非農地通知書
- 所有者が申請して取得するもの → 非農地証明書
という違いがあります。
非農地通知書が届いている土地は、すでに農業委員会が農地性を失っていると判断している点が大きな特徴です。
非農地通知書のメリット

非農地証明の取得手続きが不要になる
原則として、山林化した農地を手放したり、所有者を変更したりする際には、農業委員会から非農地証明を取得して手続きを進めることになります。
しかし、非農地通知書が発行されている土地については、すでに農業委員会が農地ではないと判断しているため、改めて非農地証明を取得する必要はありません。
所有権移転登記を進めやすくなる
農地のままでは、所有権移転や名義整理を行う際に、農地法上の手続きが問題になることがあります。
一方で、非農地通知書が発行されている土地については、農業委員会による非農地判断が済んでいるため、所有権移転登記や相続後の土地整理を進めやすくなります。
農振農用地(青地)では特に有効
農業振興地域内農用地区域内農地(いわゆる青地)については、非農地証明の取得に時間を要することがあります。
そのため、すでに非農地通知書が発行されている土地は、農業委員会による非農地判断が済んでいることから、改めて非農地証明を取得する必要がなく、土地整理や所有権移転を進めやすいというメリットがあります。
また、農振農用地(青地)は農地に関する手続きや確認事項が多くなることもあるため、非農地通知書によって農地性が整理されていることは、将来の土地整理において大きなメリットになる場合があります。
固定資産税が軽減される場合がある
課税地目が農地から山林へ変更されることで、固定資産税評価額が下がり、税負担が軽くなるケースがあります。
現況と公的資料の整合性が取りやすくなる
山林化した農地では、現況は山林であるにもかかわらず、農地台帳や各種資料上では農地として扱われていることがあります。
非農地通知書が発行されることで、行政上も農地ではないと判断されたことが明確になり、今後の相続や土地整理を進める際の判断材料になります。
非農地通知書のデメリット
一方で注意点もあります。
登記地目の変更は自分で行う必要がある
通知書が届いても、法務局が自動で登記地目を変更してくれるわけではありません。
登記簿上の地目を「畑」から「山林」などへ変更する場合は、所有者自身が法務局へ地目変更登記を申請する必要があります。
土地の価値が上がるわけではない
非農地通知は農地ではないと判断されたことを示すものです。
土地の市場価値が上がることを意味するものではありません。
立地条件によっては、引き続き管理や処分に苦労することもあります。
管理義務はなくならない
山林になったからといって所有者としての管理責任がなくなるわけではありません。
樹木や竹の繁茂、隣地への越境、境界問題などは引き続き所有者の問題となるため、非農地通知書が届いた後も適切な管理が必要です。
非農地通知書が届くこと自体が珍しい地域もある

実は全国的に見ると、山林化した農地がそのまま農地台帳や登記上の農地として残っているケースは少なくありません。
何十年も耕作されておらず、現況が明らかに山林となっていても、非農地判断が行われていない土地は各地に存在します。
そのため、農業委員会による農地利用状況調査の結果として非農地通知書が送付されることは、見方を変えれば農地の現況把握や適正管理に積極的に取り組んでいる結果ともいえます。
実際に、非農地通知によって農地台帳の整理が進むことで、所有者にとっても現況に合わせた土地整理や将来の相続対策を検討しやすくなる場合があります。
突然通知書が届くと驚くかもしれませんが、必ずしもマイナスの出来事とは限りません。
非農地通知書が届いたら確認したいこと

通知書が届いたら、
- 登記地目
- 課税地目
- 土地の場所
- 現況
- 今後の利用予定
を確認しておくことをおすすめします。
また、長年放置された土地では、
- 土地の場所が分からない
- 境界が分からない
- 不法投棄の場所になっている
- 樹木や竹が繁茂し、公道へはみ出している
- 相続登記が行われていない
- 隣接地が所有者不明土地化している
など、別の問題が見つかることもあります。
まとめ|非農地通知書は必ずしも悪い知らせではない

非農地通知書は、農業委員会がその土地について「農地ではない」と判断したことを知らせる書類です。
通知書が届いても登記地目は自動で変更されないため、必要に応じて法務局で地目変更登記を行う必要があります。
一方で、
- 非農地証明を取得する必要がなくなる
- 所有権移転や名義整理を進めやすくなる
- 農振農用地(青地)の土地整理で有利になる
- 現況に合わせた土地整理を進めやすくなる
などのメリットもあります。
また、非農地通知が行われること自体、農業委員会が農地の現況把握や適正管理に取り組んでいる結果ともいえます。
非農地通知書が届いた際には、登記地目や課税地目の状況を確認するとともに、土地の所在地や現況、権利関係、相続登記の有無や名義の状況などを確認し、今後も所有し続けるのか、それとも手放すのかを検討する良い機会でもあります。
突然届くと驚く書類ですが、非農地通知書の送付をきっかけに、不動産の整理をはじめるのもひとつかもしれません。






































