皆さま、こんにちは!
高知県で、山林や農地をはじめ、相続後の扱いに困っている土地や建物、売却・処分が難しい「負動産」を専門としている福島屋代表の上田です。
相続した実家や空き家について、
- 手放したい
- 解体した方がいいのだろうか
- 自分の代で片づけたい
このような相談が高知県内で増えています。
かつては「不動産は資産」と言われていましたが、現在の高知県では、土地価格より建物の解体費用が高くなる空き家が増えています。
このような不動産では、「いくらなら売れるか」だけでは解決できません。「どう整理するか」という出口戦略まで考えた提案が求められています。
そこで本日は、高知県で増えている「土地価格より解体費が高い空き家」の現実と、考えられる出口戦略について話してまいります。
目次
土地価格より解体費が高いケースとは

例えば次のようなケースを考えてみます。
- 土地30坪
- 周辺の取引価格:坪3万円
- 土地価格:約90万円
- 建物解体費:約120万円
この場合、土地が売れたとしても解体費用の方が高くなります。
さらに実際には、
- 家具・家財などの残置物撤去費用
- 相続登記費用
- 境界確定費用
などが必要になることもあります。
つまり、「土地を売れば解体費を回収できる」とは限らないのです。
なぜこのような空き家が増えているのか
高知県では人口減少や高齢化が進み、地域によっては不動産需要が大きく低下しています。
一方で、
- 人件費の上昇
- 廃材処分費の上昇
などにより解体費用は上昇しています。
その結果、土地価格は下落傾向にある一方で、解体費用は上昇傾向にあります。
このような背景から、土地価格より解体費が高い空き家が増えています。
売れない原因は価格設定にあることも

相談を受ける中には、周辺の土地取引事例では坪3万円程度の地域であるにもかかわらず、坪10万円以上で売り出されているケースも見受けられます。
もちろん、売出価格を決めるのは所有者です。
しかし、不動産は売主が価格を決めることはできても、購入するかどうかを決めるのは買主です。
そのため、
- 問い合わせが来ない
- 売れ残る
という状況になることもあります。
価格設定に正解はありませんが、市場価格とかけ離れた価格で成約するケースは、特別な取得理由がある場合を除いて多くありません。
空き家を整理するための選択肢

① そのまま所有し続ける
高知県で最も多い選択肢です。
ただし、
- 固定資産税
- 建物管理
- 近隣対応
などの負担は続きます。
また、建物の老朽化は止まりません。
所有を続けるということは、将来必要になる解体費用を先送りにしている状態とも言えます。
② 賃貸として貸し出す
家賃収入を得ながら、将来必要になる解体費用を積み立てる方法です。
ただし、築年数の経過した建物は、そのままでは貸し出せないことも少なくありません。
そのため、
- 内外装のリフォーム費用
- 設備交換費用
- ハウスクリーニング費用
などが必要になる場合があります。
また、費用をかけて貸し出しの準備をしても、
- 入居者が見つからない
- 想定していた家賃では入居者が決まらない
- 空室期間が長引く
といった可能性もあります。
家賃収入が見込める一方で、初期投資や収支面のリスクも十分に検討したうえで判断することが大切です。
さらに、賃貸借契約が成立した場合には、借地借家法により、所有者の都合だけで退去してもらうことは容易ではありません。
③ 解体して売却を目指す
建物管理の負担がなくなり、土地として売却しやすくなる可能性があります。
また、更地にすることで土地の形状や広さが分かりやすくなり、新築時のイメージを持ってもらいやすくなるというメリットもあります。
老朽化した空き家特有の暗い印象がなくなることで、購入を検討する人に良い印象を与える場合もあります。
しかし、この記事で取り上げている例では、
- 解体費120万円
- 土地価格90万円
となり、単純計算でも30万円の持ち出しになります。
さらに、仲介手数料をはじめ、測量・境界確定費用、登記費用などの諸費用が必要となる場合があります。
また、更地にしたからといって必ず売れるわけではありません。
人口減少が進む地域では、土地そのものの需要が限られていることもあります。
そのため、高知県の不動産市場では、建物を残した状態で買主を募集し、売買契約の成立後に売主負担で建物を解体し、更地で引き渡す方法が採られることもあります。
買主が決まってから解体するのであれば問題ありませんが、買主が決まる前に解体を行う場合には慎重な判断が必要です。
解体後に買主が見つからなければ、
- 解体費用を支払った
- 建物がなくなったことで住宅用地の特例が適用されなくなった
- 固定資産税の負担が増えた
- それでも土地は残っている
という状況になる場合があります。
空き家の整理では、「解体するかどうか」だけでなく、「解体後に売れなかった場合を含めてどうするのか」まで考えることが重要です。
④ 引継ぎ先を探す
空き家や土地の整理では、売却だけが選択肢ではありません。
不動産によっては、
- 隣地所有者
- 地域住民
- 駐車場や資材置場を探している事業者
- 移住希望者
などが引継ぎ先になる場合があります。
市場で広く買主を募集しても反応がない不動産でも、利用目的が合致する人が見つかれば、売買にこだわらず引き継がれる可能性があります。
相続した不動産の整理にはさまざまな費用がかかる
土地価格と解体費だけを比較して判断してしまうと、実際の負担額を見誤ることがあります。
例えば、次のような費用が発生する場合があります。
| 項目 | 概算費用 |
|---|---|
| 建物解体費 | 約100万~200万円程度(建物規模による) |
| 残置物撤去費 | 数万円〜50万円以上(量による) |
| 測量・境界確定費用 | 約30万円~(土地の状況による) |
| 登記費用(相続・滅失・所有権移転など) | 約5万円~(登記内容による) |
| 仲介手数料 | 取引価格・契約内容による |
| 相続土地国庫帰属負担金 | 原則として20万円~(土地の条件による) |
実際には物件ごとに状況が異なるため、負担額も大きく変わります。
相続土地国庫帰属制度という選択肢

近年は、国に土地を引き取ってもらえる相続土地国庫帰属制度も注目されています。
ただし、
- 建物は事前に解体する必要がある
- 原則として20万円以上の負担金を国へ納付する必要がある
- 申請手続きを専門家に依頼する場合は別途費用がかかる
などの条件や費用負担があります。
また、相続土地国庫帰属制度は利用できれば有効な制度ですが、まずは売却や引継ぎ先の確保を検討し、それが難しい場合の選択肢の一つとして考えることが一般的です。
不動産を手放す方法は「売却」だけではない

一般的な不動産取引では、売買による活用が中心になります。
一方で、土地価格より解体費が高い不動産では、売却以外の方法を検討した方がよい場合もあります。
- 引継ぎ先を探す
- 相続土地国庫帰属制度を検討する
など、不動産ごとに適した方法は異なります。
重要なのは、「いくらで売れるか」ではなく、将来の負担をどのように整理するかという視点です。
「いくらなら売れるか」より「いくらで整理できるか」
土地より解体費が高い空き家では、売却後にお金が残るとは限りません。
実際には、
- 費用の持ち出しはしたくない
- 今は困っていない
という思いから判断が先送りになることもあります。
しかし、その間も、
- 固定資産税
- 建物の老朽化
- 保有リスク
は続いていきます。
また、相続が発生した場合には、相続登記が義務付けられているため、相続登記の手続きも必要になります。
負動産の整理では、「いくらなら売れるか」ではなく、「いくらの負担で整理できるか」という視点が重要です。
今回の例であれば、
- 土地売却価格:約90万円
- 解体費:約120万円
となり、単純計算では30万円の差額があります。
見方を変えれば、30万円で長年の保有負担や将来の不安を整理できるとも考えることができます。
まとめ|土地も含めた出口戦略を考える

土地価格より解体費が高い空き家は、高知県で今後さらに増えていくと考えられます。
このような空き家では、
- そのまま所有し続ける
- 賃貸として貸し出す
- 解体して売却を目指す
- 引継ぎ先を探す
- 相続土地国庫帰属制度を検討する
など、複数の選択肢を比較しながら判断することが大切です。
空き家の問題は、建物だけでなく、土地も含めてその不動産を今後どのように整理していくのかを考えることが重要です。
放置期間が長くなるほど、建物だけでなく土地を手放すための選択肢も少なくなるため、まずは早めに状況を整理することが将来の負担を減らす第一歩になります。













































