皆さま、こんにちは!
高知県で、山林や農地をはじめ、相続後の扱いに困っている土地や建物、売却・処分が難しい「負動産」を専門としている福島屋代表の上田です。
相続が発生すると、多くの方は「誰が何を相続するのか」を決めるために遺産分割協議を進めます。
しかし、遺産分割協議を行う前にぜひ行っていただきたいことがあります。
それが「不動産整理」です。
相続財産の中に不動産が含まれている場合、その不動産が本当に「資産」なのか、それとも将来大きな負担となる「負動産」なのかを把握しないまま遺産分割協議を進めると、相続後に思わぬ問題や費用負担が判明し、「こんな不動産なら相続しなければよかった」と後悔することもあります。
そこで本日は、遺産分割協議の前に不動産整理が重要な理由について話してまいります。
目次
不動産はすべて「資産」とは限らない

相続財産には、預貯金や有価証券のほか、
- 老朽化した建物
- 管理されていない山林
- 耕作されていない農地
- 長期間放置されている土地
- 先祖代々の墓地
- 法令上の制限により活用や処分が難しい不動産
などが含まれることがあります。
これらの不動産は、売却や有効活用が難しいだけでなく、
- 固定資産税
- 草刈りなどの維持管理費
- 建物の維持管理
- 樹木の繁茂や倒木、不法投棄への対応
- 建物の解体費用
など、所有し続ける限りさまざまな負担が発生する可能性があります。
そのため、相続税評価額や固定資産税評価額だけで判断するのではなく、その不動産が将来どのような管理負担や整理費用を伴うのかまで確認したうえで、遺産分割協議を行うことが重要です。
山林は場所や現況を確認してから判断する

福島屋には、「山林を相続する予定だが、場所や現況が分からない」というご相談が数多く寄せられます。
地番は分かっていても現地の位置が特定できず、何十年も管理されていない山林も少なくありません。
現地を確認すると、
- 公道へ樹木が張り出している
- 倒木のおそれがある
- 不法投棄されている
- 所有者も存在を知らなかったお墓がある
など、登記簿や固定資産税納税通知書などの書類だけでは把握できない問題が見つかることがあります。
このような山林を現況を確認しないまま相続すると、その後、行政からの指導や高額な伐採費用など、思わぬ負担が生じる可能性があります。
空き家は土地価格より解体費用が高くなることもある

空き家の場合は、「土地が売れるかどうか」だけで判断するのは危険です。
近年の高知県では、土地価格より建物の解体費用が高くなるケースが増えています。
さらに、
- 残置物処分費用
- 測量や境界確定費用
- 相続登記費用
- 建物滅失登記費用
- 仲介手数料
などの費用が必要になる場合もあります。
そのため、「売却価格」だけを見るのではなく、「整理するために最終的にいくら必要になるのか」という視点で考えることが重要です。
遺産分割協議は「手取り額」を考えて行うことが重要

遺産分割協議では、財産の評価額だけで分け方を決めるのではなく、最終的に各相続人の手元にどれだけの財産が残るのかを考慮することが重要です。
例えば、相続財産の中に現預金や売却可能な不動産がある場合には、不動産の整理に必要となる
- 専門家による調査・方針設計費用
- 残置物処分費用
- 解体費用
- 相続土地国庫帰属制度を利用する場合の負担金
- 整理に伴う各種手続き費用
などをあらかじめ見積もり、その費用を差し引いたうえで遺産分割協議を行うことをおすすめします。
これらの費用を考慮せずに遺産分割を行うと、一人だけが多額の整理費用を負担することになり、結果として相続人間で不公平が生じるおそれがあります。
遺産分割協議では、財産の評価額だけで判断するのではなく、不動産整理に必要な費用を差し引いた後に、各相続人の手元に実際にどれだけの財産が残るのかという「手取り額」の視点で判断することが、公平な遺産分割につながります。
不動産整理を行うことで適切な判断ができる

不動産整理では、
- 現地の状況確認
- 権利関係の確認
- 条例・法令上の制限の確認
- ハザード情報の確認
- 売却可能性の検討
- 引継ぎ先(売却・寄付・無償譲渡等)の検討
- 相続土地国庫帰属制度の利用可能性の検討
- 相続登記、農地法その他必要な手続きの整理
- 将来想定される維持管理費、税金、解体費用等の費用負担やリスクの整理
などを行います。
これらを整理することで、不動産ごとの負担の度合いや処分の難易度、今後必要となる費用などを把握でき、それぞれの不動産に適した対応方法を検討できます。
その結果を踏まえて遺産分割協議を行うことで、相続人全員が不動産の将来の負担や整理費用も考慮したうえで、より適切な判断を行いやすくなります。
まとめ|遺産分割協議の前に不動産整理を

遺産分割協議は、一度成立すると簡単にやり直すことはできません。
だからこそ、誰が相続するかを決める前に、不動産を相続することによる負担や整理に必要な費用まで把握することが重要です。
特に、売却や活用が難しい空き家、長期間放置されている土地、管理されていない山林、耕作されていない農地などの不動産は、現地の状況や権利関係、法令上の制限などを調査・確認して初めて明らかになる問題も少なくありません。
そのため、遺産分割協議を行う前に不動産整理を進めることが、相続人全員が納得できる公平な遺産分割への第一歩となります。













































