皆さま、こんにちは!
高知県で、山林や農地をはじめ、相続後の扱いに困っている土地や建物、売却・処分が難しい「負動産」を専門としている福島屋代表の上田です。
「昔、家を解体して、今は更地になっています」
相続した不動産や、長年使われていない不動産についてお話を聞いていると、このようなケースがあります。
現地に行けば建物はなく、見た目は完全な更地です。
ところが登記を調べてみると、すでに存在しないはずの建物が登記上は残っていることがあります。
建物は解体すれば、現地からはなくなります。
しかし、解体しただけで法務局の建物登記まで自動的に消えるわけではありません。
建物を取り壊したときには、原則として「建物滅失登記」という手続が必要です。
特に、親や祖父母から相続した古い不動産では、建物を解体した時期が分からなかったり、誰も建物の登記まで確認していなかったりすることがあります。
そこで本日は、建物の滅失登記がなぜ必要なのかを、「相続した不動産をきちんと整理する」という視点から話してまいります。
建物を解体しても、登記は自動的には消えません

例えば、土地の上に住宅が建っていて、その住宅について建物の登記がされていたとします。
その後、住宅を解体しました。
現地では建物がなくなり、更地になります。
しかし、それだけでは建物の登記記録はなくなりません。
その結果、
- 現地には建物がないにもかかわらず、登記上は建物が存在している
という状態になることがあります。
建物を取り壊した場合には、その建物がなくなったことを登記にも反映させる必要があります。
そのための手続が「建物滅失登記」です。
建物滅失登記とは?

建物滅失登記とは、取り壊しなどによって建物がなくなったことを登記記録に反映させる手続です。
簡単にいえば、
- 「現実にはもう建物がない」という状態に、登記の状態も合わせるための手続
です。
不動産を整理するときには、現地を物理的に片付けることだけでなく、こうした登記の状態についても確認する必要があります。
建物を解体したら、原則1か月以内に滅失登記

建物滅失登記は、いつか必要になったときにすればよいというものではありません。
建物が滅失した場合、原則として滅失した日から1か月以内に建物滅失登記を申請することとされています。
つまり、
- 建物を解体すること
- 建物の滅失登記をすること
は、一連の不動産整理として考えておいた方がよいでしょう。
解体業者に建物を壊してもらったから、建物についてはすべて終わったと考えないことが大切です。
何十年も前に解体した建物の登記が残っていることもあります

実際には、建物を解体したにもかかわらず、滅失登記がされないまま長い年月が経過していることがあります。
例えば、
- 建物を壊したのは父の代なので、詳しいことが分からない
- 相続したときにはすでに更地だった
- 昔から畑として使っているので、以前建物があったこと自体を知らなかった
といったケースです。
現在の所有者からすると、最初から更地だったという認識かもしれません。
しかし、登記を調べると、父や祖父などの名義で昔の建物登記が残っていることがあります。
現地を見ただけでは、建物の登記が残っているかどうかは分かりません。
相続した古い不動産を整理するときに、登記を確認する意味はここにあります。
建物が記載されている地番が、現在は存在しないことも

さらに古い不動産では、もう一段複雑なことがあります。
建物の登記は残っているものの、建物の所在地として記載されている土地の地番が、現在は存在しないというケースです。
例えば、建物が建っていた当時の土地がその後に分筆や合筆され、建物登記には現在とは異なる古い地番が残ったままになっている場合などです。
こうなると、
- 現地を見ても建物はない
- 現在の土地の地番と建物登記の地番が一致しない
- 建物登記だけが、現在は存在しない古い地番のまま残っている
ということがあります。
そのため、現在の土地の登記だけを確認しても、残っている古い建物登記に気付かないことがあります。
古い不動産ほど、「今どうなっているか」だけでなく、「これまでどう変わってきたのか」まで確認しなければ全体像が見えないことがあります。
相続した家を解体する場合、先に建物の相続登記は必要?

ここは、相続した古い家を整理するときに疑問になりやすいところです。
例えば、父名義の古い実家を相続したものの、誰も住む予定がなく、老朽化しているため解体することになったとします。
この場合、「まず父から相続人への相続登記をして、その後に建物を解体し、さらに滅失登記をする必要があるのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、相続した建物を解体して滅失登記をする場合、必ずしも先に亡くなった方から相続人への建物の相続登記をしなければならないわけではありません。
被相続人名義のまま建物を解体し、その相続人から建物滅失登記を申請できる場合があります。
そのため、建物を解体する予定だからといって、
- 相続登記 → 解体 → 滅失登記
という順番で、いったん建物の相続登記をしてから滅失登記をしなければならないわけではありません。
ただし、申請する人が亡くなった登記名義人の相続人であることを確認する必要がありますので、戸籍など相続関係を確認するための資料が必要になります。
また、土地や解体しない他の建物など、相続によって取得した不動産については、相続登記の問題が別に残ります。
「解体する建物について先に相続登記をしなくても滅失登記ができる」ということと、「相続登記そのものをしなくてもよい」ということは同じではありません。
相続人が複数いる場合、全員で滅失登記をする必要がある?

相続人が複数いる場合には、「相続人全員がそろわなければ滅失登記ができないのでは?」という疑問もあります。
建物滅失登記については、相続人が複数いる場合でも、相続人のうち1人から申請できる場合があります。
ただし、ここで非常に重要なのが、
- 「1人で滅失登記を申請できること」と、「1人の判断だけで建物を解体してよいこと」は別の問題
だということです。
滅失登記は、すでになくなった建物について、その事実を登記に反映させる手続です。
一方、相続人や共有者が複数いる建物を実際に解体してよいかどうかは、建物についての権利関係や遺産分割の状況などを確認する必要があります。
「自分1人で滅失登記ができるから、自分1人の判断で建物を壊してもよい」という意味ではありません。
相続関係が複雑な場合や共有者がいる場合には、解体する前に権利関係を確認することが重要です。
まとめ|建物を解体したら「登記まで整理する」

建物を解体して現地が更地になると、「これで家の整理は終わった」と思うかもしれません。
しかし、現地から建物がなくなっても、建物の登記が自動的に消えるわけではありません。
特に相続した古い不動産では、本人が知らないまま、父や祖父の名義で何十年も前の建物登記が残っていることがあります。
さらに、土地の分筆や合筆を繰り返していると、建物登記の所在地が現在は存在しない古い地番のままになっていることもあります。
不動産を整理するときに大切なのは、現地を物理的に片付けることだけで終わらせないことです。
建物を解体したのであれば、登記上も建物がなくなっているかを確認する。
登記が残っていれば、必要な滅失登記を行う。
こうして「現地の状態」と「登記の状態」を一致させておくことも、不動産整理の一つです。
売却や処分が難しい不動産では、すべての問題を一度に解決できないこともあります。
それでも、古い建物を解体したのであれば滅失登記まで終わらせるなど、自分の代で整理できる問題を一つずつ減らしておくことには意味があります。
建物を解体したら現地だけで終わらせず、登記まで整理する。
それが、建物滅失登記が必要な理由です。















































